こんにちは。佐伯菜々子と申します。
静岡の海と山に囲まれた街で育ち、今は東京の雑多な日常の中で、キーボードを打ち鳴らす日々を送っています。肩書きは「経理・財務の実務ライター」。でも、この肩書きだけでは伝わらない物語があります。
「泣きながら資金繰り表を眺めていた女」の正体
ある真夜中、オフィスビルの灯りがほとんど消えた22階。ブルーライトに照らされた私の顔には、確かに涙が流れていました。月末の支払い予定と、入金見込みの数字が一致しない…。「どうやって来週の給料を出せばいいの?」
これは私が大手メーカーの経理部で過ごした12年間の、決して珍しくない一コマです。
資金繰り、支払い管理、銀行との緊張感ある交渉、グループ会社間の債権調整——。地味で裏方の仕事ですが、会社という生き物の「血液」を管理する重責。数字は冷たいようで、実は人間ドラマの凝縮なのです。
私、佐伯菜々子は、一見すると「穏やかな経理女子」に見えるかもしれません。でも内側には、数字と人の狭間で鍛えられた、しなやかな強さがあります。「資金ショートさせない」という使命感一つで、どれだけ厳しい交渉も乗り越えてきました。
数字のトンネルから抜け出した日
転機は、産休・育休から復帰した2018年のこと。
「働き方改革」の名の下、時短勤務を選択しました。しかし、締め切りは短縮されず、業務量は変わらず、周囲との温度差に苦しむ日々。夕方5時、「お先に失礼します」と言いながら、胸に残る後ろめたさ。夜中に娘を寝かしつけた後、こっそりPCを開いて仕事を続ける日々。
「私は何のために働いているのだろう?」
そんな問いを抱えていた頃、思わぬ評価をいただきました。社内向けの経理マニュアルと、後輩への「文章による指導」が高く評価されたのです。上司はこう言いました。
「佐伯さんの文章は論理的なのに、どこか温かみがある。難しい経理の話も、読みやすい」
それまで自分では気づかなかった才能。数字だけでなく、「言葉」にも私の居場所があるのかもしれない——。
コロナ禍が背中を押した「独立」という決断
2020年、世界がコロナの混乱に揺れる中、私は15年勤めた会社を辞める決断をしました。
「今なら在宅でも仕事ができる。娘の傍にいながら、私にしか書けない文章を届けたい」
退職日、オフィスを後にする時、かつて涙を流した資金繰り表を、密かに記念に持ち帰りました(もちろん個人情報は黒塗りです)。あの苦しみと孤独が、今の私の「武器」になるから。
私の記事が「最後の砦」になれば
今、私が書いているのは主にこんなテーマです:
- 明日の資金が足りない!そんな時の具体的対処法
- 請求書の山に埋もれないための債権管理術
- 「支払いサイト短縮交渉」で使える心理学的アプローチ
- 経営者に経理の重要性を理解してもらうための伝え方
- 会計ソフトを最大限活用する秘訣
- 一人経理が精神的に潰れないための自己防衛術
どの記事も、「机上の空論」は徹底的に排除しています。書籍やネットの受け売りではなく、「私がかつて知りたかった情報」を届けることにこだわっています。
数字で泣き、言葉で救われる
私の文章スタイルを一言で表すなら「論理的だけど、冷たくない」。
締め切りに追われる経理担当者、資金繰りに頭を抱える経営者、確定申告に戦々恐々とするフリーランスの方々——。そんな方々が、疲れ切った夜に、スマホの画面で最後に読む記事。その記事が、明日への一筋の光になれば。
言い切るべきところはきっぱり言い切り、複雑な制度も噛み砕いて伝える。そして、硬めの文体の中に、ふっと笑えるたとえ話を忍ばせる。例えば、資金繰りの記事ではこんな表現を:
「資金繰り表は、家計の冷蔵庫のようなもの。何が、いつ、どれくらい入ってくるか。何が、いつ、どれくらい出ていくか。一目でわかるように整理しておかないと、突然『あ、牛乳切れてる!』という悲劇が起きます。ただし会社の場合、牛乳が切れると従業員全員が路頭に迷うことになりますが…」
あなたの孤独、私が知っています
特に意識しているのは、「経理を任されているけど、ちゃんと教えてもらえない」という立場の方々。
中小企業の経理担当者、特に「総務部から異動してきて、突然経理を任された人」「前任者の引継ぎなしに経理を担当することになった人」——そんな方々の孤独を、私は知っています。
「数字が合わないけど、どこで間違えたんだろう?」
「この仕訳、どうやって処理するんだろう?」
「社長に言われた通りにしたけど、これって本当に正しいの?」
誰にも聞けない。でも答えを出さなければならない。そんな板挟みの苦しさ。
また、フリーランスで「経理や税金のことが苦手で夜も眠れない」という方々にも、実務目線でアドバイスをお届けしています。会計事務所からの説明は難しすぎる、ネットの情報は浅すぎる——そんな「情報の谷間」を埋めるのが私の役目です。
文章が生まれるまで——私の創作ルーティン
私の記事は、こんな風に生まれます。
まず、真っ白なノートを開き、「あのとき、私が悩んでいたこと」を書き出すところから始めます。単なる情報提供ではなく、「あの頃の私に向けた手紙」のつもりで書くのです。
リサーチは徹底的に。まず制度の一次情報を確認し(国税庁や法務省のサイトなど)、次に実務ブログや官公庁サイト、会計士のコラムを横断して、「制度と現場のギャップ」を洗い出します。
構成は「質問→理由→具体策→まとめ」の流れで、読者の「行動」につながるよう意識しています。箇条書きは多用しますが、冒頭と締めくくりは必ず「物語」で包みます。人は論理よりも物語に心を動かされるから。
執筆中は、カフェの隅の席がお気に入り。周囲の会話が程よいホワイトノイズとなって、集中力を高めてくれます。一杯のカフェラテと、小さなケーキ。そして、かつての私自身の苦労を思い出しながら、キーボードを打ち続けます。
私が大切にしている「言葉の力」
前職の先輩に「言葉で相手の不安を消せる経理パーソン」と呼ばれる女性がいました。
ある日、私が資金繰りに行き詰まって泣いていた時、彼女はこう言ったのです。「この数字の向こう側には、必ず解決策がある。焦らなくても大丈夫。一緒に考えましょう」
その時の安心感は、今でも忘れられません。彼女のように「わかってくれている」と感じさせる言葉を紡ぎたい——それが私の文章の原点です。
経理という「縁の下の力持ち」に光を
「佐伯さんの記事を読んで、初めて自分の仕事の価値がわかりました」
あるクライアントから、こんな言葉をいただいた時は、胸が熱くなりました。
経理の仕事は、とかく「数字を合わせるだけ」「単なる事務作業」と思われがち。でも、その仕事が会社を支え、人々の暮らしを守っているのです。経理担当者が正確に数字を管理するからこそ、営業は安心して外回りができ、製造部門はモノづくりに集中できる。
私は記事を通じて、そんな「経理の価値」を伝えていきたいと思っています。数字の向こう側にある、人間ドラマを。
朝の散歩と、ひっそりとした読書の時間
仕事以外の私は、かなりシンプルな生活を送っています。
朝5時に起き、静かな住宅街を30分ほど散歩するのが日課。まだ誰もいない公園のベンチで、朝日を浴びながら深呼吸する時間が、私の「リセットボタン」です。
休日には、家から少し離れた小さなカフェで過ごすことも。エッセイと法律入門書を交互に読むのが最近の楽しみです。なぜ法律本かというと、「制度の背景にある考え方」を知ることで、経理の仕事の本質も見えてくるから。
夫と小学生の娘との時間も大切にしています。「ママはいつもパソコンとにらめっこしてる」と言われないよう、土曜の午後は「デジタルデトックス」の時間に。家族で近所の図書館や公園を巡る小さな冒険を楽しんでいます。
これからの旅路——まだ書けていない物語
独立して3年が経ち、多くの記事を書いてきました。でも、まだ書ききれていない「本当の物語」があります。
それは、「感情」の部分。「泣きながら資金繰り表を見ていた」あの頃の経験を、もっと率直に書きたいと思いながら、まだ踏み出せずにいます。プライドが邪魔をするのかもしれません。「経理は冷静であるべき」という職業意識が。
でも本当は、数字の世界こそ、感情の海でもあるのです。入金が予定通りになかった時の焦り。粉飾を迫られた時の葛藤。経営者からの無理難題に対する怒り。締め日前日の緊張感。月次決算が無事終わった時の達成感。
これからは、そんな「数字と感情の交差点」にも光を当てた記事を書いていきたいと思っています。経理という仕事を通して見える「人間模様」を。
あなたの「数字の物語」を聞かせてください
最後に、読者のあなたにお願いがあります。
あなたの経理や財務での苦労、小さな成功体験、誰にも言えなかった悩み——ぜひ教えてください。コメント欄やSNSで、気軽にメッセージをいただければ嬉しいです。
「支払いサイトを短縮したい」という言葉の裏には、誰にも言えない資金繰りの悩みがあるはず。「請求書の処理が追いつかない」という嘆きの裏には、人手不足の現実があるはず。
数字は感情を隠せるけれど、文章は人を救える——。
そう信じて、今日も私はキーボードを打ち続けています。あなたの経理業務の悩みに、少しでも光を当てられたら幸いです。一人じゃないよ、と伝えられたら。
朝日を浴びながら散歩する時間に、あなたの笑顔を思い浮かべています。
佐伯菜々子